2020.12.25

2021年の世界経済見通し:ワクチン普及で年後半にかけて回復がメインシナリオながらリスク要因多数

2020年の世界経済は、前半にコロナ・ショックで大きく落ち込んだ後、後半はコロナ感染拡大の一服により持ち直し傾向にあったが、足元では感染第3波によって先行きに再び暗雲が漂い始めている。そのため、2021年の世界経済は停滞状態からのスタートとなる。ただ、ワクチンの開発は順調に進んでおり、欧米先進国では春から夏にかけて普及が期待されるため、年後半にかけて世界経済は再び回復に向かうと予想される。すなわち、世界経済は引き続きコロナ次第となり、ワクチンが期待通りの有効性で順調に普及するかどうかが、2021年の世界経済にとって最大の注目点となる。また、本レポート後半に列挙した通り、米国は政権交代、中国は次期5ヵ年計画がスタートし構造問題に着手、米中対立の行方を含めて不透明な部分が多く、バブル気味の金融市場、各地で続く紛争や南シナ海・台湾海峡での緊張状態、タイの反政府デモなど、混乱の火種も多い。アフターコロナの世界経済は、不安定さを残しながらの回復になるとみておいた方が良いだろう。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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上席主任研究員 石川 誠

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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