2021.12.15
日本の労働市場は、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け悪化し、特にパートタイム労働者の労働者数や労働時間が大幅に減少した。パートタイム労働者の賃金は、公的統計である毎月勤労統計とリクルート社のアルバイト募集時平均時給では若干動向が異なり、2020年5月の毎月勤労統計のパート時間当たり賃金は休業手当などで嵩上げされ上昇したが、実態はリクルート社の姿に近く伸びを縮めた。パート比率の高い外食産業の賃金は下落幅が大きく、深刻な影響を受けた。足もとでは、緊急事態宣言後の人出増加に伴い外食産業の売上は持ち直し、パート賃金も上昇している。12月の全国企業短期経済観測調査(短観)の雇用人員判断D.I.(過剰-不足)は、飲食・宿泊サービスで9月の+19から12月は▲17へマイナス転化し、外食・宿泊産業を中心に人手不足感が高まっている。今後は、新型コロナウィルスの収束を受けたサービス消費の回復に伴い、外食や宿泊産業で労働需給がひっ迫し賃金が一段と上昇すれば、他産業へも賃金上昇が波及する可能性が高い。