2024.07.28
日銀短観6月調査では大企業製造業の景況感が改善、非製造業は小幅悪化も極めて高水準を維持。街角景気「景気ウオッチャー調査」でも6月は景気判断(水準)が4ヵ月ぶりに改善。帝国データバンク調査は6月も悪化したが北陸の大幅悪化による部分が大。景気は総じて良好。
6月の販売統計は、コンビニが底堅く推移、スーパーは伸びを高め、百貨店高い伸びを維持、自動車販売は減少したが外食は好調。週末の日数が前年より多かった影響はあったものの、気温上昇で夏物が好調、人出の増加も指摘されており個人消費は持ち直しの動き。
消費者物価は6月から7月にかけて補助金廃止によるエネルギー価格上昇で沈静化の動きが足踏み。利上げの条件である「賃金上昇のサービス価格への波及」は一部にとどまるが、企業向けサービス価格は上昇しており、時間の問題。一方で、財価格の値上がりは勢いが鈍化、8月以降は補助金再開もあり、物価全体は沈静化へ。
賃金は上昇ペースが着実に加速。所定内給与(基本給)は春闘を反映して9月にかけて伸びを高めるため、8月にも実質賃金が前年比プラスに転じる見込み。個人消費は実質賃金の改善のほか、自動車出荷の正常化を受けて、4~6月期から前期比プラスに転じると予想。
設備投資は、建設投資の低迷が続くものの機械投資が底堅く推移。今後も好調な企業業績を背景に日銀短観などで確認された強気な計画が実行に移され堅調に拡大しよう。インバウンド需要も増勢を維持しており、岸田首相の8兆円目標が示す通り拡大余地を残す。財輸出は足元で弱含んでいるが、今年末頃から来年にかけて欧米景気の持ち直しにより拡大に転じよう。4~6月期の実質GDP成長率は2四半期ぶりの前期比プラス成長を現時点では予想している。
それでも、日銀は7月30~31日の金融政策決定会合において、賃金上昇のサービス価格への波及も、それを促す個人消費の回復力も十分に確認できていないとして、利上げを見送ると予想する。最近の円安修正も利上げを急ぐ必要性を後退させたと考えられる。
当社は、日銀が賃金と物価の好循環や個人消費回復の確認にもう少し時間をかけ、9月19~20日の決定会合で利上げに踏み切るとの予想を維持する。その後も中立金利を目指して利上げを続けるが、少なくとも2024年度中の利上げは景気拡大を妨げす、日本経済は安定的な物価上昇の下で一定の金利がある正常な状態に向けて回復を続けよう。