2023.10.23
「年収の壁」を意識して就業調整する非正規労働者は2022年時点で445万人、40~50歳代の既婚女性や親の扶養に入る若年層で多い。このうち社会保険上の壁である「130万円の壁」は、1993年までは賃金の上昇に応じて引き上げられてきたが、それ以降は改定されていない。この間、パートタイム労働者の時間あたり賃金は1.4倍になっており、賃金上昇に応じて壁を引き上げたとすれば、壁は「182万円」まで上昇していたことになる。そうすれば、就業調整している445万人の1日当たりの労働時間は、現在の4時間から6.1時間まで増加し、その規模は全労働者による労働投入量の2.1%に相当する。つまり、社会保険上の壁を従来のように賃金の上昇に応じて引き上げれば、労働力を2.1%拡大できるだろう。