2025.10.30

欧州経済:景気は底堅いものの、トランプ関税で輸出が停滞

ユーロ圏では、トランプ関税と駆け込み需要の剥落によって輸出が停滞。8月からはEU向けの相互関税が10%から15%へと引き上げられたことで、8月の米国向け輸出は前年同月比▲22.3%と、コロナ禍以来の規模の大幅なマイナスに。一方、良好な雇用環境と落ち着いた物価動向を背景に、個人消費は底堅く推移しており、景気を下支え。
フランスでは、9月に就任したルコルニュ首相が在任1か月足らずで辞任。マクロン大統領はルコルニュ氏を再指名する異例の策に出たものの、内閣不信任案の可決を回避すべく、年金改革の凍結を約束することに。混乱はひとまず沈静化したものの、議会構成が変わらないなか、今後も政局が不安定な状況が続く公算大。政局の混乱や財政再建の遅れを受け、フランスの10年債利回りへの上昇圧力が高まる。

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副主任研究員 高野 蒼太

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