2026.05.07

米国経済:個人消費は雇用停滞で増勢鈍化、株価調整による下方リスク

2026年の米国の個人消費は、減税による押し上げ要因と、エネルギー価格高止まりや雇用鈍化といった下押し要因が交錯する状況にある。実質個人消費は「雇用者数」「雇用者一人当たり実質可処分所得」「平均消費性向」の3要素に分解でき、2025年まではこれらがバランス良く寄与し、+2.5%前後の安定成長が続いてきた。2026年の雇用者一人当たり実質可処分所得は、インフレ上昇を減税効果が相殺し+1.5%程度の伸びが続く一方、雇用者数の伸びは移民抑制などを背景に+0.3%へ鈍化する見通しである。また、株価上昇に伴う資産効果は引き続き期待されるものの、平均消費性向の上昇(貯蓄率の低下)は限界に近付いており、実質個人消費の押し上げ効果は小幅にとどまるとみられる。この結果、2026年の実質個人消費の基調的な成長率は+2%程度にとどまり、これまでの2%台半ばの安定ペースからの減速が予想される。消費の鈍化は、AI投資主導の成長に対する過剰投資懸念につながり、株価調整を通じた下振れ要因となる可能性がある。先行きの下方リスクには十分留意が必要である。

執筆者紹介

上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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