2019.11.29

中国経済情報2019年11月号

委縮する中国経済(10月主要経済指標)

10月の主要経済指標は、中国経済が再び悪化したことを示した。特に悪化が目立つ製造業では、在庫水準の大幅な抑制が示す通り、需要動向の懸念から企業のマインドは慎重化している。実際に需要動向は、個人消費やインフラ投資を中心に動きが鈍く、企業マインドの委縮が金融緩和の効果を減殺している。米中貿易協議が進展し、マインド改善につながることが期待される。

ニューリテールの新潮流― C2Mが消費と生産をどこまで変えられるか ―

中国では、消費者ニーズを生産者にフィードバックして、商品の開発から生産、流通、販売へと至る従来のサプライチェーンを逆行させるC2MCustomer to Manufacturer)という新たな動きが注目を集めている。ECプラットフォーマーは相次いでC2M戦略を進めており、今後競争激化が予想される。

上海出張報告:社会実装と研究開発を両輪に「デジタルシフト」が進む中国

伊藤忠総研は中国上海で現地調査を実施した。消費市場が成熟した上海ではオンライン・オフライン・物流を融合したニューリテールによる新サービスが消費者に浸透、また、そうした新サービスを支える半導体産業も一部では米中摩擦の影響を受けながらも着実に成長している様子である。

10分でわかる今年の中国「四中全会」

中国で10月末に開催された共産党の重要会議である四中全会では、当初期待された経済改革方針についての議論や重要人事の発表もなかったが、香港問題を含む国家の管理体制強化を中心に議論された模様。来年秋開催予定の五中全会では経済改革方針も含む次期「五か年計画」草案の提示が期待される。

伊藤忠中国拠点注目のトピック

日本企業が存在感を示した輸入博覧会

第二回国際輸入博覧会が11月上旬に開催された。日本企業の出展数は昨年に続いて参加国中最多、特に医療・健康分野で先端機器から家庭用機器、医療サービスまで幅広く紹介、大きな注目を集めた。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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主任研究員 趙 瑋 琳(チョウ イーリン)

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