2020.05.29

中国経済情報2020年5月

着実に正常化に向かう中国経済(4月指標)

4月の主要経済指標は、輸出が予想外に増加、小売や固定資産投資も改善し、中国経済が着実に正常化に向かっていることを示した。輸出の増加は一時的とみられるが、企業活動の制約は概ね解除されつつあり、今後も内需の牽引による景気持ち直しが続こう。全人代では、コロナ終息宣言も今年の成長率目標の設定も見送られたが、財政赤字の拡大を許容して景気の押し上げに努める方針が示された。財政面からの支援もあり2020年通年で2%程度のプラス成長予想を維持。

2020年(後半)の中国の政策方針:~全人代・政府活動報告のポイント~

中国では、国会に相当する全人代が開催され、2020年の経済社会政策方針が発表された。注目されていた成長率目標は、経済の先行き見通しが困難なことから設定が見送られた。加えて、ここ数年掲げられてきた重要政策分野への言及が最低限にとどめられた一方で、雇用者や中小・零細企業への対応に重点を置くなど、最優先課題を新型コロナウイルスの経済への影響抑制とされた。そのほか、民主化運動が多発する香港、中国と一定の距離を置く台湾に対しては、より強い圧力をかける姿勢が示された。

伊藤忠中国拠点注目のトピック

①  新型コロナの影響で「下沈市場」でのEC利用が急拡大

新型コロナウイルス感染を防ぐために外出自粛の動きが広まった結果、とりわけ地方の中小都市や農村部でEコマースの利用者増加が顕著である。当面の課題である「物流網の未整備」を解消するため、政府も取組を進めており、これら地域でのEC市場はさらなる発展が期待される。

 「人工肉」は中国人の食文化に変化を与えるか

世界的に注目を集めている植物由来の「人工肉」が中国にも上陸した。現在の消費者は、大都市の一部の若年層中心にとどまっているが、中国人の健康意識や食生活の多様化が進む中で、「人工肉」が今後中国人の食文化に変化を与えていくのか、注目される。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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主任研究員 趙 瑋 琳(チョウ イーリン)

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