2020.06.25

フィリピン経済:深刻な経済落ち込みの中、米中間のバランス外交続く

フィリピン経済は、新型コロナウイルス感染拡大抑制のための外出・移動制限を背景に、民間内需を中心に深刻な景気悪化に見舞われた。今後は、5月以降の段階的制限緩和を受けて、経済は持ち直しに向かうことが想定されるが、感染拡大は未だ収まらず、再び外出・移動制限に追い込まれる可能性が残る。内需にとって重要な支えである海外出稼ぎ労働者からの送金は大幅減が避けられないのに対し、もう1つの支えであるBPO産業はコロナ禍でも比較的底堅く推移し、内需持ち直しに寄与することが期待できる。ドゥテルテ政権が進める大規模インフラ計画は、財政ひっ迫などから、海外ODA資金に期待せざるを得ない状況。有力なODA資金元である中国との経済関係を深めつつ、米国との軍事同盟を維持しながらも有利な条件を引き出す外交が続く見込み。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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