2020.07.27

インド経済:コロナ早期封じ込めを断念し、共存しつつ景気回復を選択

インドでは、新型コロナウイルスに対する早期かつ厳格な感染防止策が奏功せず、貧困層の集団感染などを起点に感染が爆発的に拡大した。3月下旬に実施されたロックダウンの影響から、5月にかけて経済活動は大きく抑制。ロックダウンの段階的緩和が開始された6月以降も、景気低迷や雇用情勢の悪化による消費者と企業のマインドの冷え込みから、内需中心に景気回復の勢いは鈍い。新型コロナの感染収束が見通せるまでにはまだ数か月単位必要とみられ、財政逼迫の中で更なる大規模な景気浮揚策を実施することも難しいことから、内需がコロナ前の水準に戻るのは2020年冬頃になることが見込まれる。ただし、この間に米IT関連企業などの投資の動きも出てきており、デジタル関連を中心に産業の高度化に弾みがつく可能性がある。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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