2021.02.25

日本経済情報2021年2月号 緊急事態宣言で再びマイナス成長へ(改定経済見通し)

2020年10~12月期の実質GDP成長率は、11月までの景気持ち直しにより前期比で大幅プラス成長が続いた。しかしながら、年明け早々の緊急事態宣言再発令を受けて個人消費は大幅減少。Google社の人の移動データと主な消費支出との関係から判断すると、1~3月期の個人消費は前期比4%程度減少する可能性がある。外食や旅行関連が顕著に落ち込む一方で、巣籠り分野は引き続き好調、消費者市場の二極化が続く。

輸出は中国春節前の駆け込みもあり1月も増加を続けたが、欧米向けには陰りが見られ、2月以降は停滞の可能性。設備投資は機械受注が反発したが一時的、建設投資は減少が続いている模様。住宅投資は先行指標の低迷が続き減少傾向から脱していない。

こうした需要動向を踏まえると、1~3月期は再び前期比でマイナス成長に転じる可能性が高い。その結果、2020年度の成長率は前年比▲4.8%の大幅マイナスとなる見込み。ただ、緊急事態宣言は3月7日に全面解除される見通しであり、コロナ感染再拡大を回避できれば個人消費は持ち直しの動きを再開、輸出も再び増勢を取り戻し、日本経済は徐々に回復に向かう見通し。2021年度の成長率は、内外コロナ抑制と東京五輪の有観客開催を前提に前年比+4.4%と予想。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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