2021.03.01

欧州経済の展望とグリーンディール戦略

欧州経済は今年4~6月期以降、コロナワクチン普及と行動制限緩和に伴い、徐々に回復傾向を強めていく見通しである。しかし、GDPがコロナショック前の水準を取り戻すのは、ユーロ圏で来春、Brexitの影響も抱える英国では2023年入り後となろう。成長率予想は、ユーロ圏が2020年▲6.8%・2021年3.2%・2022年4.6%、英国が2020年▲9.9%・2021年3.4%・2022年6.5%。アフターコロナのEUは、グリーン分野で世界をリードすることによって、人口減少や高齢化に伴う成長力低下圧力を打破する戦略である。一方、英国も「2050年の温室効果ガス排出ネットゼロ」を世界で初めて法制化した国として、グリーン分野における世界的な主導権を獲得したい考えである。そうした構図の中で、EUによる「欧州グリーンディール」や英国の「グリーン産業革命計画」といった大構想が打ち出されてきている。

執筆者紹介

上席主任研究員 石川 誠

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