2021.06.23

日本経済情報2021年6月号 ワクチン接種進み景気は持ち直し再開へ(改定見通し)

1~3月期の成長率は2次速報で上方修正されたものの前期比大幅マイナスは変わらず、コロナ・ショックからの持ち直しの動きは中断。4月以降はコロナ感染第4波により景気は明確に悪化した。

人の動きは3度目の緊急事態宣言もあって4月から5月にかけて抑制傾向が強まり、個人消費はサービス分野を中心に5月にかけて減少。ただ、6月には緊急事態宣言が継続されたにもかかわらず下げ止まり、4~6月期の個人消費は前期マイナスを免れた模様。

輸出は5月に足踏みしたものの、ワクチン接種が進む欧米向けの本格回復により拡大基調を維持。設備投資は機械投資が製造業で回復傾向ながら非製造業は低迷が続き二極化の様相。建設投資は未だ下げ止まりの域を脱せず。住宅投資は過剰投資の調整を終えた賃貸住宅が復調し持ち直しの動き。

以上を踏まえると、4~6月期のGDP成長率は、個人消費が予想外に下げ止まったことから前期比プラスに転じる可能性。他国の先行事例はワクチン接種率15~30%で消費活動が活発化することを示唆しており、接種率2割が近づいた国内でも今後は個人消費の持ち直しが本格化する見通し。輸出の拡大持続と設備投資の立ち上がりも期待できるため、7~9月期以降は景気持ち直しを再開、2021年度の成長率は2年ぶりのプラス(3.5 %)を予想。

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チーフエコノミスト 武田 淳

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