2021.06.25
ユーロ圏では、行動制限緩和の動きが相次ぐ中、家計需要が急回復し、企業は大規模な在庫取り崩しなどで対応している状況。そのため、景気は4~6月期に踊り場を脱した後、今年後半は在庫復元を企図した増産も相俟って、従来予想以上の成長ペースとなる可能性が出てきている。しかし、英国では、ユーロ圏に先行して景気が持ち直していたものの、6月に入り「デルタ株」の感染者が急増。行動制限の完全解除が7月以降に先送りされ、今後の景気回復シナリオに暗雲が立ち込めている。今のところ、デルタ株の猛威はユーロ圏に及んでいないが、仮に飛び火して行動制限の再強化に至る場合、在庫不足に直面し、物価高騰などの混乱を招くリスクが高まる。すなわち、一層のワクチン普及によってデルタ株を十分に封じ込められるかどうかは、欧州経済の行方を展望する上でかなり重要なポイントになってきている。