2024.03.26

欧州経済:景気後退のユーロ圏は6月より利下げ開始へ

ユーロ圏の昨年10~12月期の実質GDP成長率(確報値)は前期比マイナスに下方改定され、英国とともに統計上の景気後退(2四半期連続のマイナス成長)となった。ただし、年明け後の経済指標によると、ユーロ圏の低調はなお続いているが、英国では個人消費が下げ止まり、1~3月期の成長率が小幅ながら前期比プラスに転じる可能性が高まっている。インフレ率は、ユーロ圏、英国ともに2月にかけて低下傾向をたどり、ECBは景気の低調持続も踏まえ、今年6月からの利下げ開始を示唆した。一方、英国では、BOE内で追加利上げ論が大きく後退し「次の一手は利下げ」が確実となってきたが、ユーロ圏を上回るインフレ率(3%台)、サービス価格や賃金の強い伸び(いずれも前年比6%台)が落ち着くのを待つ必要があることなどから、BOEの利下げ開始時期はユーロ圏からやや遅れ、今年夏場になると見込まれる。

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副主任研究員 岩坂 英美

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