2021.07.19

マレーシア経済:感染急拡大が内需抑制、ワクチン接種加速に望み

マレーシアでは、主要輸出品目の半導体、パーム油、原油・天然ガスに対する海外需要増が、足元の景気回復を支える。しかしながら、5月には同国最悪となるコロナ感染拡大が発生し、活動制限が再強化、国内需要は大幅に抑制されている。こうした中で、マレーシア政府は、何とか十分量のコロナワクチン調達の目途をつけたとみられ、接種の進捗加速により事態の好転を図っている。当面は追加経済対策により内需の底割れを防ぎつつ、米国を中心とした外需が景気を下支え、感染拡大がピークアウトした後はワクチン接種進捗が消費を強く喚起し始めるだろう。足元のリスクとして、解散・総選挙を見据えた動きが活発化し、政権運営の不確実性が高まることが挙げられる。政治の混迷は、コロナ対応の遅れを招くだけでなく、海外企業から見た今後のマレーシア経済動向の不確実性を高め、直接投資の手控えなどにつながる可能性があることには注意が必要である。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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