2021.11.25
欧州では10月後半以降、ドイツを中心にコロナ感染が再拡大し、人流の回復に陰り。加えて、人手不足やガス価格高騰の中で、在庫不足・物価高の状態にも直面。そのため、欧州経済は来年1~3月期にかけて、ユーロ圏・英国ともに成長ペースが鈍化する見込み。しかし、来春までに、①外出自重やワクチン3回目接種の本格化などによるコロナ鎮静化、②大規模パイプラインの稼働開始などによるガス調達とエネルギー価格の安定化が実現すると想定すれば、景気は4~6月期以降再び上向く可能性が高い。2022年通年の成長率もユーロ圏で4.0%、英国で3.4%を確保しよう。ただし、英国については、EU完全離脱後の外国人就業者の流入減が人手不足やインフレの改善を遅らせ、景気回復力を削ぐ可能性に留意が必要。その英国では、10/31~11/13にCOP26が開催。各国が中期的な温室効果ガス排出量の削減目標を明示したほか、(1)石炭利用の制限(初の合意)、(2)排出削減枠の国際取引ルールなどで合意に至るなど、温暖化対策の国際協調で一定の前進。もっとも、「産業革命前からの気温上昇幅を1.5度に抑制」との目標の実現には、まだまだ取り組みが不十分という点も浮き彫りに。