2022.03.22

日本経済情報2022年3月号 ウクライナ情勢悪化により成長率見通しを下方修正

オミクロン株の流行ピークアウトを受け、人の動きは2月中旬以降、既に回復傾向にあり、今回の「まん延防止等重点措置」の解除により、今後の消費活動は正常化に向かうと期待される。

ただ、景気ウオッチャー調査における家計関連分野の景況感悪化が示す通り、2月にかけて個人消費は落ち込んだ模様であり、今後、人出が急回復するとしても、1~3月期の個人消費は前期比で0.5%程度落ち込んだ模様である。

しかも、ロシアのウクライナ侵攻に伴う主要国の対露制裁により、今後は複数のルートで日本を含む世界経済に悪影響が及ぶ見通しである。なかでも、日本経済にとっては、エネルギー資源や食糧の国際価格の高騰による直接ないしは間接的な影響が大きい。

輸出はこれまで自動車生産の落ち込みにより軟調に推移していたが、今後はインフレ加速による欧米経済の悪化で下押しされよう。設備投資は先行指標が今後の足踏みの可能性を示唆している。

国内物価は、川上の企業物価が大幅に上昇しているが、今のところ川下の消費者物価は小幅な上昇にとどまっている。ただ、今後は国際商品相場の高騰を受けて上昇が加速、個人消費の回復力を削ぐとみられる。そのため、2022年度の成長率見通しを前年比+3.2%へ下方修正した。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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副主任研究員 中浜 萌

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