2022.09.27

米国経済:インフレ抑制に向けて、景気の下押し圧力強まる

9月のFOMCで、金融引き締め策が一段と強化される方向性が鮮明となった。株価下落やローン金利の上昇など金融環境が引き締まることで、住宅市場と設備投資には一段と下押し圧力がかかり、夏場にかけて底堅く推移した個人消費も、再び減速するとみられる。また、景気が停滞に向かい労働需要が減少に転じれば、賃金上昇圧力は低下し、サービス価格のピークアウトにつながると考えられる。そうした中、FRBは、経済に対する影響を十分に確認する余裕がなく、急ピッチな利上げに迫られているとみられる。コロナ禍で過剰に蓄積された家計貯蓄が、個人消費の強力なバッファーになると考えられるが、それでも雇用情勢の大幅な悪化が生じた場合は、消費の急減を回避できず、景気後退に陥る可能性があることには注意が必要である。

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上席主任研究員 髙橋 尚太郎

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