2022.09.27

欧州経済:ECB 利上げ加速などインフレ抑制策が相次ぐが、 英トラス新政権の大型減税発表は裏目に

欧州では、冬の需要期が近づきエネルギー需給をめぐる強い先行き不透明感が残る中で、高インフレが依然として収まらない。8 月のインフレ率(消費者物価の前年同月比)はユーロ圏が 9.1%と過去最高を記録、英国が 9.9%と小幅に下落したものの、引き続き高止まりしている。こうした状況の下、ECB は 9/8 の定例理事会において、ユーロ誕生後初となる 0.75%Pt の大幅利上げを打ち出し、さらに今後複数回の利上げを示唆するなど、インフレ抑制姿勢を一段と鮮明化している。一方、英国では 9/6 にトラス新首相が誕生し、早速、10 月から 2 年間のエネルギー価格凍結を発表した。しかし、ほぼ同時に発表された大型減税策は、財政コストの増大懸念から債券安(国債利回り上昇)・ポンド安・株安のトリプル安を招く展開となっており、むしろスタグフレーション懸念を高める材料となりつつある。

執筆者紹介

上席主任研究員 石川 誠

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副主任研究員 岩坂 英美

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