2022.10.28

欧州経済:高い物価上昇率が続く中、一段の景気悪化が見通される

欧州では、エネルギー価格の上昇は一服するも、川上分野から川下分野への価格転嫁が着実に進んでいる。9月のインフレ率(消費者物価の前年同月比)はユーロ圏が9.9%と過去最高を記録、英国が10.1%と2か月振りに2桁台に回帰するなど、高インフレが依然として収まらない。こうした状況の下、7~9月期はユーロ圏でゼロ付近、英国ではマイナスの成長となる公算が高まっており、今後についても一段の景気悪化が見通される。一方、英国では、9/23に発表された大型減税策により財政コストの増大懸念が高まり、市場が大混乱(債券安・ポンド安・株安)に陥った結果、トラス前首相は就任2か月足らずで辞任に追い込まれる事態となった。10/25に就任したスナク新首相は市場の安定化に加え、高インフレ対応及び景気の立て直し、党の支持率回復と、取り組むべき課題が山積する。

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副主任研究員 岩坂 英美

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