2022.10.31

インフレ期待高まる中で大規模経済対策を決定(改定見通し)-日本経済情報2022年10月号

財・サービス問わず値上がりの動きが広がり、消費者物価は40年ぶりの高い伸びを記録、上昇が加速。コアコアでも上昇率が2%を突破、インフレ期待が高まりやすい状況に。ただ、日銀政策委員の間では一時的な上昇との見方が大勢であり、昨年の米国を想起させる状況。

物価上昇により、雇用情勢や所得環境が改善しているにもかかわらず消費者マインドは大きく悪化。ただ、労働需給は依然逼迫の方向にあり、賃金の上昇が物価上昇の影響を緩和することが期待される。

それでも、足元では個人消費が停滞。企業の設備投資は拡大傾向を維持しているが、輸出は海外景気の減速で増勢に陰り。そのため、7~9月期のGDP成長率はプラス成長を維持するも減速する見込み。

そのため政府は、財政規模39兆円(GDP比7.2%)にも上る大規模な追加対策を決定。その効果もあり、今後の日本経済は内需主導の拡大傾向を続ける見通し。欧米景気が回復に転じる2023年度後半以降は、輸出が復調する一方で個人消費は自然体の伸びへ落ち着き、設備投資も拡大局面が一巡、徐々に巡航速度へ減速していくと予想する。

なお、政府は今回の対策が実質GDPを直接的に4.6%押し上げるとしている。この規模は内閣府が試算する需給ギャップ(GDP比)2.7%を大きく上回っており、その通りとなれば物価上昇圧力は大きく高まろう。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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副主任研究員 中浜 萌

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