2022.11.25

欧州経済:景気の下押しを覚悟したインフレ抑制に踏み切る

10月のインフレ率(消費者物価の前年同月比)は、ユーロ圏が10.6%と過去最高を更新、英国が11.1%と41年ぶりの高水準となるなど、依然として高い伸びとなっている。こうした状況の下、ECBは10/27の定例理事会において2会合連続となる0.75%Ptの大幅利上げを決定、BOEも11/3の金融政策委員会で利上げ幅を0.75%Ptに拡大するなど、インフレ抑制姿勢を一段と鮮明化している。7~9月期はユーロ圏でゼロ近辺の成長、英国ではマイナス成長となったが、今後についても中立金利を超えた利上げが想定される中、一段の景気悪化が見込まれる。英国では、2027年度に550億ポンド相当の歳出削減・増税策を行うことを掲げた秋季財政報告が発表された。24年度までは歳出の増加を継続、本格的な財政再建は25年度以降に行われる内容となっており、足元の景気への配慮を行いながら財政再建の道筋を示すバランスのとれた計画として、一先ず評価できよう。

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副主任研究員 岩坂 英美

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