2022.11.28

新たな悪材料は対策効果で吸収し回復基調維持(改定見通し)ー日本経済情報2022年11月号

当社は9月、日本経済の先行きについて、コロナ感染が収束、円安に歯止めが掛かるとの前提の下、①脱コロナ/ウイズコロナで出遅れていること、②比較的低い物価上昇率、③金融緩和の継続、④企業の前向き姿勢、⑤インバウンド需要の回復、により回復基調が続くとした。

実際に10月の景気ウオッチャー調査は個人消費を中心に景気が回復に向かっていることを示唆。外食や小売売上も10月は総じて改善。ただ、11月に入りコロナ感染が再拡大、消費者物価は予想以上に上昇が加速、賃金も上昇しているが物価には追い付かず、個人消費の逆風強まる。それでも強制貯蓄を取り崩せば個人消費の拡大は可能であるが、そうなるかは悪化傾向にある消費者マインド次第の状況。

そのほか、金融緩和は当面続く見通しであり、企業の設備投資や雇用に対する姿勢は引き続き積極的。インバウンド需要にも回復の兆しが見られるが、財(モノ)の輸出は中国経済の停滞により想定以上に落ち込み新たな懸念材料に。

以上の通り、コロナ収束という前提が崩れ、回復の5つの理由のうち物価は予想を上回る上昇、新たに中国の景気停滞という悪材料も加わり、景気回復シナリオの実現可能性は低下したが、2次補正予算で具体化する「総合景気対策」の下支えにより、回復基調は維持される見通し。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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副主任研究員 中浜 萌

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