2022.12.21

欧州経済:インフレの低下ペースは緩慢に留まる(改定見通し)

11月のインフレ率は、ユーロ圏・英国ともに依然として高い伸びではあるものの、エネルギーの上昇率低下を主因に小幅の低下。ただし、今後も川上分野から川下分野への価格転嫁や賃上げの動きの継続が見込まれる中、来年にかけて物価上昇の牽引役がエネルギーから非エネルギーへと移り変わることで、インフレ率の低下スピードは緩やかなものとなることが想定される。ECBは物価と賃金のスパイラルへの警戒感を強め、金融引き締めの継続必要性を改めて強調した。高インフレを受けた実質可処分所得の減少に加え、中銀による金融引き締めも急ピッチで進む中で、内需が下押しされ、ユーロ圏では2023年Q1まで2四半期連続、英国では2023年Q3まで5四半期連続のマイナス成長に陥ると予想する。今回改定した成長率予想は、ユーロ圏が2022年3.3%、2023年0.2%、2024年1.4%、英国が2022年4.4%、2023年▲0.8%、2024年0.8%となる。

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副主任研究員 岩坂 英美

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