2023.01.26

欧州経済:落込みは軽度となる可能性も、先行きは楽観視できず

ユーロ圏においては、足元のガス価格の下落や供給制約の緩和状況、経済活動の正常化を進める中国に対する輸出期待の高まりなどにより、マインドが先行して改善しつつある。こうした状況に鑑みれば、10〜12月期のマイナス幅は小幅にとどまり、2023年1~3月期までのテクニカルリセッションをかろうじて回避できる可能性も生じていると言えよう。

一方で、インフレ圧力は残存しており、次の冬に向けてのエネルギー供給の見通しが依然として不透明な状況には変わりない。また、想定よりも景気が悪化しない場合、足元の価格下落を受けてエネルギー需要が強まりかねないこと、労働需給の逼迫が中々解消されず、物価と賃金のスパイラルにつながる可能性が高まることなどはリスクとして挙げられる。

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副主任研究員 岩坂 英美

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