2023.03.29

欧州経済:景気停滞の中、信用不安がくすぶる

欧州では、マインドの改善は続くものの、実態経済への波及には時間を要する見込みである。また、コアベースのインフレ率の上昇が続くなど、インフレ圧力が根強い中、中央銀行は金融引き締めを継続。実質可処分所得の減少に加え、金融引き締めの影響もラグを伴って顕在化する中で、当面は景気停滞が見込まれる。そうした状況の下、米国の銀行破綻を契機として、3月中旬にクレディ・スイスに対する経営不安が急速に強まり、AT1債市場が混乱。同社の買収や、当局による関連声明の発表によって事態は沈静化しつつあるが、信用不安がくすぶる。仮に信用不安が長期化すれば、従来の金融引き締め効果と併せ、実体経済への悪影響が拡大し得る点に留意が必要となる。

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副主任研究員 岩坂 英美

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