2023.03.30

賃金上昇の加速で回復シナリオ維持(改定見通し)-日本経済情報2023年3月号

2022年10~12月期のGDP2次速報は前期比ほぼ横ばいに下方修正され、昨年末にかけての景気は思いのほか弱かったことが確認された。

ただ、足元では個人消費の関連指標が幅広く改善、設備投資にも復調の兆しが見られるなど内需は持ち直しの動き。一方の外需は、財輸出の減少が続いており、インバウンド需要もひとまず頭打ち。

景気の足取りが心許ない中で、朗報は政府の対策が奏功し、消費者物価の上昇も頭打ちしたこと。さらに、春闘賃上げ率は予想を大きく上回る3.3%で着地する見通しであり、実質賃金は2023年度後半にも前年比でプラスに転じよう。

物価上昇の鈍化はまた、消費者マインドの改善にもつながる。当社の試算では強制貯蓄は未だ消費支出の1割程度残っており、今後はリベンジ消費の本格化が期待できる状況。消費回復は金融緩和の継続と相まって設備投資の再拡大をも後押ししよう。

以上より、今後も内需主導で景気の回復が続くとみられ、現状、GDP比▲2%程度と推計される需給ギャップは、2023年度中に解消する見込み。賃金上昇の加速と価格転嫁の継続により、2%の物価目標達成が視野に。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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副主任研究員 中浜 萌

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