2023.06.27

欧州経済:落ち着く兆しが見えない英国のインフレ圧力

ユーロ圏1~3月期の成長率は、個人消費や輸出の不振により前期比年率▲0.4%(10~12月期▲0.5%)へと改定され、テクニカルリセッション入りとなった。4月以降も、製造業を中心とした企業活動やマインドの低下が見られ、比較的堅調なサービス業についてもリベンジ需要の盛り上がりが一巡。ただし、コア・インフレ率の上昇にブレーキがかかりつつあり、利上げの打ち止めや個人消費などの需要下げ止まりにつながる動きになっていくのか注目。一方、英国ではストライキや労働力不足の問題から賃上げ圧力が根強く、コア・インフレ率が再上昇、BOEは利上げ幅を0.50ptへと再拡大した。総選挙を控え、移民受入れ拡大や歳出抑制など構造的なインフレ体質を改善するための政策議論は期待できない中、高インフレおよび金融引き締めが長引く見込み。

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副主任研究員 岩坂 英美

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