2023.07.25

欧州経済:景気は力強さを欠く

4〜6月期の実質GDP成長率は、ユーロ圏・英国ともに前期に続いてゼロ付近の成長となった公算が大きい。ユーロ圏では、インフレ鈍化により消費者マインドが低水準ながらも改善し、一部の国では個人消費の下げ止まりの兆しもみられるものの、製造業を中心とした企業活動の低迷が続いている。6月のコア・インフレ率は政策要因により小幅の上昇も、低下基調は不変とみられる中、利上げの打ち止め時期が注目される。当面は、(1)金融引き締めの影響が徐々に広がり内需が下押しされること、(2)主要輸出先である米中の成長ペース鈍化により輸出も力強さを欠くことから、低成長が続く見込みであり、本格的な持ち直しはインフレ抑制が進む2024年入り以降になる見通しである。なお、7月14日に、ドイツは中国への過度な依存を避ける「対中戦略」を公表し、中長期的にも対中輸出に期待できる状況ではなくなっていることには留意が必要である。

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副主任研究員 岩坂 英美

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