2023.10.25

欧州経済:景気が上向くのは年明けか

7〜9月期の実質GDP成長率は、ユーロ圏、英国ともに利上げや物価高により個人消費や設備投資などの内需が抑制され、海外経済の鈍化により輸出が低迷したとみられる中で、前期比年率で0%程度となった公算が大きい。ユーロ圏では、コア・インフレ率の鈍化(8月5.3%→9月4.5%)や賃上げ先行指標の落ち着きなどを踏まえ、利上げの打ち止めがメインシナリオとなるだろう。今後は金融引き締め効果の本格化により低成長が続くものの、インフレ鈍化を受けた実質賃金の持ち直しにより個人消費が下支えされる見込みである。ただし、消費者の節約志向が高まる中でマインドの改善は足踏みしており、景気が上向く時期は年明けへと後ずれする可能性が高まっている。

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副主任研究員 岩坂 英美

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