2023.11.28

欧州経済:金融引き締めの影響が徐々に顕在化

7~9月期の実質GDP成長率は、ユーロ圏、英国ともに物価高や利上げにより個人消費や設備投資などの内需が低迷したとみられる中、小幅のマイナス成長となった(ユーロ圏:前期比年率▲0.2%、英国:同▲0.1%)。今後はインフレ率の低下を受けた実質賃金の持ち直しにより個人消費が下支えされる見込みも、金融引き締め効果により設備投資や住宅投資の低迷が続き、景気の底入れはユーロ圏で2024年1~3月期、英国で4~6月期となる見通しである。一方、ユーロ圏、英国ともにコア・インフレ率は既にピークアウトしているとみられるが、資源価格や賃金の動向を含めてインフレ見通しの不確実性は高く、11/10にラガルド総裁が「今後数四半期は」政策金利の変更は予想されないと発言したように、各中央銀行は当面政策金利を据え置く公算が大きい。

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副主任研究員 岩坂 英美

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