2024.10.25
9月の景気ウォッチャー調査は小売や飲食で悪化もサービスや企業動向を中心に全体では改善。日銀短観でも良好な企業景況感を確認。帝国データバンクの月次調査も9月は農林水産や不動産を中心に改善。
9月の小売販売はコンビニや自動車販売が改善したものの、スーパーや百貨店、家電量販店は伸び悩む。ただ、物価上昇は電気ガス代への補助金再開により鈍化、賃金は伸びを高めており、実質賃金は9月の前年比マイナスから再びプラスに転じる見込み。消費者マインドは持ち直しており、個人消費は7~9月期も前期比で増加した模様。
設備投資は、短観の投資計画が小幅修正にとどまり勢いはないが、設備不足に人手不足が加わり、拡大は必至。うち機械投資は、先行指標が持ち直し傾向を維持しており底堅さを示す。ただ、建設投資は人手不足により進捗が遅れているため、手持ち工事高が積み上がり、着工が控えられる状況が続く。住宅投資も建設費上昇や人手不足、金利上昇により減少傾向続く。
インバウンド需要は中国本土からの訪日客の回復が一服、円安修正で単価が伸び悩み、減速。財の輸出は、EU向けが下げ止まるも米中向けの不振から減少傾向。輸出は財・サービスとも、当面は低調な推移となり、回復は年明け以降の見通し。
以上を踏まえると、7~9月期の実質GDP成長率は、輸出が横ばい程度にとどまるものの、個人消費や設備投資が小幅に増加し、前期比プラス成長を維持すると予想。その後も、個人消費や設備投資の拡大が続き、景気は回復基調を維持しよう。13兆円を超える大規模な経済対策が検討されていることも、景気回復をより確実なものにしようが、将来の財政問題をより深刻なものにすることが懸念される。
10月30~31日の金融政策決定会合は追加利上げ見送りがコンセンサスとなっているが、注目されるのは、まず今回改定される展望レポートにおいても、潜在成長率を上回る経済成長が続き、2%の物価目標が2025年度下期にも達成されるという見通しが維持されるかどうかである。さらに、それを前提に、どの程度の中立金利を想定し、どのようなペースで追加利上げを進めていくのかも、改めて議論されよう。
いずれにしても、11月5日の米大統領選を通過すれば金融市場は次第に落ち着き、追加利上げの制約は外れる。国内景気の回復が続けば、12月の決定会合で追加利上げは「可能」となり、円安修正が進まない場合は追加利上げが「必要」な状況に至る可能性もあろう。