2024.12.09
トランプ次期大統領は、11月25日、中国、メキシコ、カナダに対する関税を、就任日(2025年1月20日)に引き上げる方針を突如発表した。米国が抱える不法移民や合成麻薬の問題に、これら3か国が深くかかわっていることを理由とした。関税引き上げが実行された場合、消費財や中間財の輸入物価の上昇を通じて、0.8%pt程度の物価上昇圧力となり得ると試算される。米国経済への影響の大きさを考えると、全てが実行に移されることはないと考えることが自然である。しかしながら、トランプ氏は、大統領選で掲げてきた「関税引き上げ策」への決意が本気であることを国内外に示すためにも、中国、メキシコ、カナダが適切な対応を取らない限りは実施に踏み切る可能性がある。カナダとメキシコの首脳は、トランプ氏と協議を進めるなど関税引き上げ回避に向けた動きを加速させている。一方、中国の動向ははっきりせず、予断を許さない状況が続く。