2025.02.26

金利上昇・円安修正の下で消費主導の回復続く(改定見通し)-日本経済情報2025年2月号

2024年10~12月期の実質GDP成長率は大方の予想を上回る高成長となった。国内民間需要は伸び悩んだが、純輸出(輸出ー輸入)の寄与が大幅プラスとなり成長率を押し上げた格好。牽引役として期待される個人消費は、暖冬や物価高で小幅プラスに減速したが、家計所得は実質ベースでも伸びを高めており拡大余地を残す。

実際に1月の景気ウオッチャー調査は消費関連を中心に回復傾向を維持。1~3月期の実質GDP成長率は、先行指標から設備投資は横ばい、輸出もインバウンド頼みの状況が見込まれるが、個人消費の拡大によりプラス成長を維持しよう。2024年7~9月期時点でGDP比▲0.4%まで縮小した需給ギャップは今年度内に解消、デフレから完全脱却へ。

今後は金利上昇を受けた利払い増や投資採算悪化で企業部門の設備投資は下押しされるが、景気拡大や価格転嫁の進捗による業績改善で影響は半減される見込み。さらに、家計部門では利息収入や実質賃金の増加による個人消費拡大が住宅投資の落ち込みを上回るため、日本経済全体で見れば、利上げが年0.5%Pt程度のペースで緩和状態が維持される限り、影響は概ね中立。円高による影響も、輸出産業が多い製造業ではマイナスだが、輸入コスト増に悩まされる非製造業にはプラス。

むしろ適度な円安修正は、物価上昇の抑制も相まって個人消費の回復を後押しする。輸出は円高よりトランプ関税の影響で伸び悩み、設備投資も金利上昇により一時的に停滞する可能性はあるが、今後の日本経済は、個人消費の拡大に牽引され1%程度の成長を維持すると予想する。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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主席研究員 宮嵜 浩

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上席主任研究員 藤本 啓

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