2025.03.27
2024年10~12月期の実質GDP2次速報は3四半期連続の前期比プラス成長となり順調な景気回復を示すも、個人消費が横ばいにとどまるなど内需は失速気味。個人消費の停滞は物価上昇を主因とするマインドの悪化。所得の伸びは高まるがボーナス増という一時的なものが中心で、購買力低下や企業の経営環境悪化という物価上昇の悪影響が勝る状況。2月の個人消費関連指標も自動車や外食は堅調だが全体として冴えず。
ただ、今年の春闘は予想以上の高い賃上げ率で着地する見込み。懸念された中小企業でも高い伸びが期待される状況。大企業と同様、労働需給が逼迫する中で物価上昇を賃金に反映せざるを得ず、業績改善がそれを可能にする。さらに最近は労働生産性の上昇が賃上げの原資となっており労働分配率はむしろ低下、賃上げ余地あり。賃金上昇の加速が物価上昇の鈍化と相まって個人消費の再拡大につながろう。
日銀は3月の決定会合で現状維持としたが、海外発の下振れリスクと同程度に国内物価の上振れリスクを意識、利上げ継続の姿勢を維持。ただ、需給ギャップの改善ペースは緩やかであり、利上げを巡る市場の混乱を避けるためにも日銀による中立金利の明示が待たれるところ。
トランプ関税の影響は、現時点で自動車に対する25%引き上げが日本経済にとって大きく、輸出を下押ししよう。一方で、高い賃上げ率により個人消費はより堅調な拡大が期待されるため、今後の日本経済は前月予想した1%程度の成長維持という見方を修正する必要はないと考える。