2025.05.27
1~3月のGDP成長率は前期比マイナス成長となったが、輸入の大幅増によるところが大きく、最終需要は減速するも増加を維持したことが示す通り、景気は停滞感あるも緩やかな拡大、との評価が適当。ただ、4月も景況感の悪化が続いており、トランプ関税の影響には要注意。
景気の先行きを左右する日米関税交渉は今のところ目立った進展を確認できず。赤沢大臣は今月30日に4回目の協議のため訪米、農産品やLNGなどの輸入拡大、自動車規制緩和、造船分野での協力などがテーマとなる見込みであるが、落としどころは見えず。
関税交渉については、米中が追加関税引き下げで合意したが、交渉進展の結果ではなく高関税に耐えられずリセットしたに過ぎない。EUに対する50%の追加関税はトランプ政権が交渉を有利に進めるための圧力。英国との自動車関税引き上げを含む合意は米国にとって貿易黒字国であり日本にとっては前例とならず。見通し改定にあたりトランプ関税の前提を大きく変更するほどの材料は現時点で見当たらず。
一方で、円高・原油安が輸入コストの低下を通じて日本経済にメリットをもたらすという見方も変わらず。そのため、輸出は減少が避けられないが、設備投資は非製造業を中心に増勢を維持、個人消費は高い賃上げの継続と物価上昇抑制で回復に向かうとみられ、成長率予想は2025年度、2026年度とも据え置き。日本経済は政府や日銀が試算する潜在成長率を上回るペースでの内需主導の回復傾向を維持、日銀はトランプ関税による不確実性の低下を待って、年内に利上げを再開しよう。