2025.06.26

トランプ関税・中東リスクの影響は限定的(改定見通し)-日本経済情報2025年6月号

1~3月のGDP2次速報は前期比横ばいへ上方修正。その一因は3月指標を受けた個人消費の上方修正であり、好材料。景況感は4月以降も悪化が続いているが、外食など販売統計は底堅く、マインドと実体経済に乖離も。4~6月期GDPは、個人消費が小幅増ながら、機械受注が高水準維持につき設備投資は拡大、財輸出も底堅いため、民間在庫の比較的大きな反動減を見込んでも前期比プラス成長の可能性。

日米関税交渉は首脳会談実施も目立った進展なし。特に自動車関税が折り合わない模様。中東情勢対応に時間を要したこともあり、7月9日の交渉期限までの決着はハードル高く、当社は期限延長を予想。先に8月期限の対中交渉が上乗せ見送りで一応の決着、その後、日本を含む各国も上乗せ見送りで合意すると想定。

それでも、相互関税10%や商品別関税はある程度残り、輸出は下押しされる見込み。一方で、円高や原油安は非製造業を中心に企業収益を押し上げるため、関税による影響を緩和。さらに物価上昇を抑制、来年度の賃上げの障害にもなりにくいため、設備投資や個人消費の拡大が今後の景気回復を主導すると予想。

2025年度の実質GDP成長率は潜在成長率を上回る前年比+0.8%となり、景気後退は回避、デフレへ後戻りすることもなし。2026年度は輸出回復により+1.1%へ伸びを高める見通し。日銀はトランプ関税による不確実性の低下を待って10月にも利上げを再開しよう。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

執筆者紹介ページを表示

主席研究員 宮嵜 浩

執筆者紹介ページを表示

副主任研究員 高野 蒼太

執筆者紹介ページを表示