2019.09.30

日本経済情報2019年9月号 日本経済改定見通し 想定通りの駆け込み需要で増税後も拡大基調維持

2019年4~6月期の成長率は下方修正されたが、3四半期連続のプラスを維持し、日本経済は緩やかな拡大を続けていることが確認された。

7月以降も、輸出は小幅に持ち直す程度にとどまっているが、個人消費は消費増税前の駆け込み需要も加わって増加基調を続けており、設備投資や住宅投資は頭打ちながら、日本経済全体で見れば緩やかな拡大を維持している。

輸出の先行きを見通す上で注目された日米貿易協定は、日本が米国からの牛肉や豚肉などの農産品輸入に関する関税をTPPの範囲内で引き下げる一方、米国も工業品の一部について関税の撤廃や引き下げを行うことで、ひとまず合意に至った。また、最大の懸念材料であった自動車への追加関税(25%)は、現時点で対象外であることが確認された。

消費増税後の日本経済は、一旦停滞するも、駆け込み需要が小さいため反動も小さく、政府の対策により増税負担が緩和されることから、年明け頃には東京五輪関連需要の盛り上がりに伴い、景気は再び拡大ペースを速める見込み(先月の見通しから不変)。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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