2019.11.28

日本経済情報2019年11月号 日本経済改定見通し~停滞打破のため補正予算を編成

2019年7~9月期の実質GDP成長率は前期比で概ね横ばいにとどまり、景気は既に増税前に停滞していたことが確認された。駆け込み需要は予想通り小規模ながら個人消費を押し上げ、内需は総じて底堅かったが、輸出の減少と在庫投資の抑制が成長を押し下げた。

7~9月期の個人消費は、駆け込み需要に加え、サービス消費の底堅さに支えられ、当社の予想以上の拡大となった。10月の小売販売は、コンビニが堅調、スーパーは小幅減、百貨店や自動車販売は大幅減。軽減税率が適用された食品の割合や駆け込み需要の大小、悪天候の影響によって明暗が分かれた。10月は特に悪天候の影響が想定外に大きく、小売ないしは個人消費の基調判断には11月の数字を待つ必要があろう。

設備投資は先行指標が当面の停滞を示唆。先行きは改善予想ながら、米中摩擦など足元では不透明感が残っており、循環的にもピークアウトの可能性を否定できないため、慎重な見方を維持した方が良いだろう。

輸出は10月に欧米向けを中心に減少、停滞を脱する兆しは見られず。そうした中、政府は景気対策の検討を開始、現時点では3兆円程度の公共事業積み増しを想定。年明け後には個人消費や輸出が持ち直し、補正予算の執行に伴い公共投資も拡大が見込まれることから、日本経済は東京五輪までは緩やかな拡大傾向を続ける見通し。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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