2019.12.24

日本経済情報2019年12月号 日本経済改定見通し~2020年後半の停滞懸念を払拭できず

政府は12月の月例経済報告で、景気の現状を下方修正し「輸出が引き続き弱含むなかで、製造業を中心に弱さが一段と増している」とした。

実際に、輸出は欧米向けを中心に落ち込み、設備投資は先行指標が先行きの停滞を示唆、日銀短観では製造業の景況感悪化が確認されている。

また、消費増税後の個人消費は、小売販売で駆け込み需要の反動落ちが弱まり持ち直す動きがみられるものの、11月時点では回復まで道半ばの状況にある。

こうした足元の景気動向に加え、海外情勢は米中摩擦が一時休止したとしても未だ不透明感を残しているため、政府は財政支出13兆円規模の経済対策を決定した。

その効果により2020年に入ると公共投資の再拡大が期待されるほか、海外景気の持ち直しにより輸出が増加に転じ、個人消費も消費増税の悪影響一巡などから復調し、日本経済は緩やかな拡大傾向を取り戻すとみられる。しなしながら、東京五輪後は関連需要の落ち込みや消費増税対策の剥落に加え、米中景気の減速などから輸出が再び落ち込む恐れがあり、景気の停滞懸念は払拭できず。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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