2024.03.28

金利上昇するも内需主導で景気は回復(改定見通し)-日本経済情報2024年3月号

昨年10~12月期の実質GDP成長率は前期比プラス成長に改定され2四半期連続の前期比マイナスと成長を回避。昨年から今年1月にかけて個人消費の冷え込みが景気停滞の主因であったが、2月には販売統計などで個人消費の回復を確認。

今後の個人消費は、①高い春闘賃上げ率を背景に所得の増加が加速すること、②消費者物価は財分野での価格転嫁の一巡により上昇ペースが鈍化すること、③所得増と物価鎮静化で消費者マインドが改善すること、により回復傾向となろう。

設備投資は、1月の機械受注が製造業で大きく落ち込み、先行きが危ぶまれるが、企業の今年度の設備投資計画は未だ高い伸びを維持しており、一方で現実の設備資本ストックの伸びは低いため、今後の設備投資の拡大が不可避の状況にある。
輸出は、インバウンド需要が1月も増加傾向を維持、財は米国向けが頭打ちし弱含みながら、今年後半には海外景気が復調し、財輸出も回復に向かおう。

以上を踏まえると、実質GDP成長率は2023年度に前年比+1.4%、2024年度も+1.5%と底堅く推移、0.7%程度とされる潜在成長率を大きく上回る状況が続こう。2022年度終盤にGDP比0.4~0.5%だったと推計される 需給ギャップは、早ければ2023年度中にも解消される。

日銀の政策変更により金利は上昇傾向となり、設備投資の逆風とはなるが、そのペースは緩やかなため、当面は設備不足や景気回復期待、金利上昇観測という追い風が勝り、設備投資の拡大が続く見込み。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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副主任研究員 中浜 萌

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