2020.07.31

中国経済情報2020年7月号

概ね予想通りの持ち直しを見せる中国経済(46月期GDP

4~6月期の実質GDP成長率は予想通りの前年比プラスとなった。輸出が予想以上に持ち直したほか、インフラ投資の拡大などから固定資産投資が順調に回復していることが主因。一方で、個人消費は期待したよりも足取りが重く、コロナ感染再拡大への懸念が足枷になっている模様。そのコロナの状況は、今のところ新規感染者がやや増加している程度であるが、米国による「香港自治法」制定が新たな懸念材料として浮上。米中対立の行方とその影響には留意が必要。

伊藤忠中国拠点注目のトピック

トピック①:新型コロナをきっかけに広がりを見せる「露店経済」

新型コロナの影響を受けた消費と雇用を支えるため、政府は露天商に対する規制緩和によって「露店経済」活性化を後押ししている。ファーストフードやコンビニも「露店」を出店したほか、自動車メーカーは「露店販売用自動車」を投入、大手EC企業は「露店」のデジタル化を図るなど、様々な業種が参入し、「露店経済」は広がりを見せている。一部の都市では雇用確保の実績も見られており、とりわけ地方都市の活性化への貢献が期待される。

トピック②:ビジネスプロセスのオンライン化で成長する企業向けEコマース

中国のEコマース市場では、これまで消費者向けサービスが注目を集めてきたが、企業向けサービスも成長が著しい。その代表的な例が、6月に開催された「中国輸出入商品交易会」である。同交易会は60年以上続く伝統的な貿易展示会だが、今回は新型コロナ感染を避けるため、初めてオンラインで開催された。商品の閲覧から商談、契約まですべてオンラインでこなすことが可能となり、参加したバイヤーの規模は過去最大となった。こうした企業向けEコマースの成長を支える大手IT企業は、先端技術とアイデアを駆使し、様々なビジネスプロセスのオンライン化を進めている

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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