2020.08.31

日本経済情報2020年8月号 改定見通し~ポスト安倍は政策承継し経済正常化を目指す

安倍首相の辞意表明を受け9月14日にも自民党新総裁が決まる見込みであるが、いずれの有力候補者が後任首相となっても、コロナ感染を抑制しつつ経済の正常化を急ぐという安倍政権の方向性から変化なく、景気への影響は当面限定的。ただ、外交面では一抹の不安を残し、国際情勢が変化する中で経済にとって将来のリスク要因。

景気の現状は、4~6月期の実質GDP成長率が世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響により記録的な落ち込みとなったが、5月以降は緊急事態宣言解除を受けて個人消費を中心に持ち直している。7月のコロナ感染再拡大によって消費の一部は足踏みしているものの、輸出反転の兆しが見られることもあり、7~9月期の成長率はプラス成長に転じる見込み。

ただ、今後は、設備投資の減少が続く中で、コロナ感染再拡大への懸念が消費者マインドの改善を抑制するとみられるため、景気の回復ペースは緩慢となり、2020年度の成長率は5%を超える大幅マイナスが予想される。2021年度はコロナの影響が和らぎプラス成長となるが、東京五輪開催が見送られれば力強さを欠く回復となろう。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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