2020.10.08

日本経済:失業率の上昇は雇用情勢の悪化を意味するのか?

8月の失業率は約3年半ぶりの3.0%まで上昇、有効求人倍率は1近くまで低下するなど、雇用指標の悪化が注目されている。ただ、就業者数は緩やかながらも増加が続いており、求人数も増加に転じた。失業率や有効求人倍率といった労働需給を示す指標の悪化は、景気の足取りが重い中で、雇用の拡大ペースも緩慢、一時的に労働市場から退避した労働力の吸収に時間を要している状況を示しているに過ぎない。今後も景気の持ち直しが続くのであれば、失業率は近いうちにピークアウトしよう。むしろ懸念すべきは労働力不足の再来である。

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チーフエコノミスト 武田 淳

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