2020.10.29

日本経済情報2020年10月号 改定見通し~個人消費の再始動で緩やかな持ち直しを継続

政府は10月の月例経済報告で「景気に持ち直しの動きが見られる」という判断を維持した。実際に、景気ウオッチャー調査の景況感は、コロナ感染第2波で一時足踏みしていたところから再び改善が加速した。

主な需要動向を確認すると、輸出は米中向けを中心に拡大が続き、個人消費はコロナ第2波の後退やGoToキャンペーンの利用拡大などから主にサービス分野で改善している。企業の設備投資や住宅投資は減少が続いているが、先行指標には下げ止まりの兆しが見られる。こうした状況を踏まえると、7~9月期の実質GDP成長率は前期比年率10%を超えるプラス成長に転じる見通し(詳細は別途レポート予定)。

今年度末にかけては、輸出が欧米のコロナ感染再加速により伸び悩むものの、個人消費は政策効果やマインド改善により緩やかな拡大傾向を持続、設備投資は2021年初頃にも底入れするとみられ、景気の緩やかな持ち直し傾向が続こう。東京五輪は観客の有無を見通せないが予定通り開催される見通しであり、2021年度中も景気の回復傾向は維持されよう。なお、経済水準が消費増税前に戻るのは2022年度後半と予想。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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