2021.05.24

日本経済情報2021年5月号 景気停滞の長期化により成長率を下方修正(改定見通し)

コロナ感染第3波を受けた個人消費の落ち込みを主因に1~3月期の成長率は前期比マイナスに転じ、持ち直し傾向にあった景気は停滞へ。

4月にはコロナ感染第4波が到来。5月半ばにピークを打った可能性はあるが、政府は緊急事態宣言の対象地域を拡大、期間延長も検討するなど感染抑制策の強化を継続。人の動きは感染第4波を受けて停滞、3回目の緊急事態宣言により、ゴールデンウィーク後に明確な減少。

景気ウオッチャー調査が示す景況感は4月に家計関連を中心に悪化、個人消費の落ち込みを示唆。人手の状況を踏まえると、個人消費は5月に一段と減少、4~6月期も前期比マイナスとなる可能性が高い。

輸出はアジア向けの拡大が続く中で、欧米向けも復調。今後も日本よりワクチン接種が先行する米国や欧州の景気拡大を追い風に拡大が続く見通し。設備投資は先行指標から下げ止まりを確認。資本ストック循環の観点から見れば調整は十分に進んでおり、回復は先行き不透明感の払拭待ち。住宅投資も底入れを確認、持ち直しが期待できる状況。

以上を踏まえると、4~6月期のGDP成長率は、個人消費の減少が続き前期比でマイナスとなる可能性。ワクチン接種の順調な進捗と東京五輪開催を前提に7~9月期以降は景気が持ち直すとみられるが、当面の停滞により2021年度の成長率見通しを3%台へ下方修正。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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