2021.07.21

日本経済情報2021年7月号 コロナ感染第5波到来も景気持ち直しは継続

日本経済は、最近のコロナ感染第5波を受けて、コロナ・ショック後、何度目かの停滞局面を意識すべき状況にあるが、6月の景気ウオッチャー調査は幅広く景況感が改善したことを示した。

小売売上も、現時点で6月分が公表されているコンビニ、スーパーは2年前比で見て5月より改善。コンビニでは来客数の落ち込みが縮小、人手の回復が改善に寄与。百貨店売上も5社ベースで大幅改善を確認。

経済活動の活発化に伴い新型コロナウイルスの感染は拡大に転じたが、今のところ人の動きに目立った変化は見られず。政府は緊急事態宣言の対象に再び東京を加えたが、行動自粛の疲れなどから経済活動へ与える影響はこれまでより小さくなる可能性。

その他の主な需要動向を見ると、輸出は6月まで底堅い動きを維持。欧米向けが年初の落ち込みから急回復、アジア向けは中国、ASEANとも増勢を維持。設備投資は、全体の4割程度を占める機械投資で製造業の持ち直しが顕著、2割を占める建設投資は底固めの状況。住宅投資は持ち直しの動きを維持。

以上の内外需要の状況を踏まえると、4~6月期の実質GDP成長率は、現時点のラフな試算では前期比+0.5%程度、年率2%台のプラス成長となると予想される。

7月以降も、緊急事態宣言下でも個人消費の持ち直しが続き、輸出も拡大を持続、設備投資は本格的な回復に向かうとみられる。景気がコロナ前の状態を取り戻すべく本格的に始動するという見通しを変更する必要は、現時点ではないだろう。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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