2021.09.27

日本経済情報2021年9月号 本格回復の条件はコロナ再拡大の回避(改定見通し)

2021年4~6月期GDPの2次速報値は実質で上方修正されたが名目では下方修正され、景気は6月にかけて持ち直すも総じて停滞が続いたとの評価が妥当。

7月以降は、輸出が米中向けを中心に減少、設備投資は非製造業に回復の遅れが見られ、個人消費はコロナ感染第5波により8月に減少。景気ウオッチャー調査が示す景況感も8月は大幅に悪化。

コロナ感染第5波は人手を大幅に減少させ消費落ち込みにつながったが、感染者数の急減により人手は一部で持ち直しの動きも。なお、感染者数の減少は人手やワクチン接種率によって概ね説明でき(本文中の図参照)、この関係を前提とすると、ワクチン接種率の上昇が続いても新規感染者数は1日2,000人台で下げ渋る可能性。接種率65%でも人手がコロナ前に戻れば再び感染者数5,000人超も。感染対策の強化が必要。

自民党総裁選と衆院選を経て20~30兆円規模の補正予算が編成される見通し。今後、コロナ再拡大が回避できれば、個人消費の本格回復も期待でき、2021年10~12月期以降は成長加速、2021年度の成長率は前年比+3.3%を予想。2022年度も3%成長が続くが、消費者物価上昇率の2%達成は2023年度中でも見通せず。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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副主任研究員 中浜 萌

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