2022.01.27

伊藤忠 日本経済情報2022年1月号 オミクロン急拡大で回復ペースは一時鈍化(改定見通し)

2021年暮れにかけての日本経済は、コロナ感染の収束により個人消費が急速に持ち直し、明るさが広がった。特に百貨店、コンビニ、飲食、旅行・交通、レジャー施設が好調であった。輸出も自動車生産の正常化に伴って年末にかけて持ち直し、設備投資も先行指標は復調の兆しを示した。以上の需要動向を踏まえると、2021年10~12月期の実質GDPは比較的大きなプラス成長になったとみられる。

しかしながら、2022年は年初からコロナ感染が急拡大、人の動きは大きく抑制されており、個人消費は大幅に減速している。輸出も海外景気の減速を受けて持ち直しの動きが停止する可能性が高まっている。今年度補正予算で増額された公共投資は拡大が見込まれるものの、1~3月期の景気は減速が避けられない。

今後の景気を左右するコロナ感染の行方については、先行する南アフリカや欧州の一部でいずれも1ヵ月程度でピークアウトしており、比較的早期の収束が期待される。仮にそうであれば、2022年度入り後に個人消費は力強い回復を再開、輸出も堅調な拡大を取り戻し、設備投資は増勢を強めよう。その結果、2022年度の実質GDP成長率は前年比+3.7%まで高まると予想する。

ただし、大幅な需給ギャップの解消には時間を要するため、消費者物価上昇率が2023年度末までに2%に達する可能性は依然として低い。

執筆者紹介

チーフエコノミスト 武田 淳

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副主任研究員 中浜 萌

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